不満はやる気の裏返しといわれるが――

 社員が新しい組織に加わると、その組織に根づいた不平の文化をすぐさま学習する。つまり、愚痴を封じ、容認できる不平とできない不平の種類を規定しているしきたりや不文律である。

 あるイギリスの大手銀行を対象に、この不平の文化について調査を実施したところ、不平や苦情について触れてはならないとされる領域は特に存在しないことがわかった。社員たちは、不満をぶつける相手が問題を解決できる立場にない限り、何に関してでも不満を訴えることができた。

 また、彼らの不満が、具体的な変革を求めた本気の要求ではなく、しかも漠然としたものである限り、彼らはだれに不満をこぼしてもよかった。この銀行で禁じられていたのは直訴だったのである。

 このような不文律の存在が、多くの組織で不満を訴えるという行為を制限している。その結果、社内でささやかれているお決まりの「形式的」な不満の声は届くことなく、経営陣に有益な情報をもたらすこともなければ、変革を加速させることもない。

 では、本当に注目すべき不満をどのように識別すればよいのか。それは、掟破りの不満分子の声に耳を傾けることである。

 社交辞令のように交わされる繰り言に紛れながらも、これを認めさせ、真の変革を望むならば、礼儀と道理をわきまえた――それゆえ的外れでもある――不平の文化を打破しなければならない。

 不満分子たちは、そもそもぶしつけで、しかし道理に反し、一線を踏み外したかに見えるやり方で声を上げなければならないものなのだ。このような者たちの不満は明確かつ具体的で、変革を要求するものであり、それに対応する権限を有する者に直接向けられる。