欧米の消費財市場はアジア・ブーム

 欧米諸国は何世紀にも渡って、東洋の文化を取り入れ、これを模倣してきた。しかし21世紀に至っては、その比ではない。

 ちょっとあなたの周りを見回してみてほしい。都心の食料品店には次々と寿司職人が登場し、ロースト・チキンやチョコ・エクレアのすぐ隣でウナギの巻き寿司が売られている。放課後や土曜日の朝、ケーブルテレビで放映されている番組といえば、日本製のアニメばかりだ。アメリカ人もヨーロッパ人も、アジア調のホテルで緑茶を注文し、日本式の温泉スパではマッサージに列をなし、年間30億ドルもの漢方薬を飲み下している。

 皮肉にも、欧米諸国の企業の多くは自分たちのブランド・シンボルを東洋市場に輸出することで頭が一杯になり――中国におけるスターバックスやドミノの宅配ピザの進出ぶりを見てほしい――自国市場の嗜好が変化しつつあることに気づいていないのではないだろうか。

 このような東洋市場への視線は近視眼的ともいえる。日本企業はこの変化に早々に気づいており、この時流に乗ろうと腐心している。トヨタ自動車や日産自動車は、何十年もの歳月をかけて自社の車をすみずみに至るまで西洋化してきたが、ここに来て見るからに日本的なデザインの車を輸出している。

 たとえば、日産の〈セレニティ〉のような新型車やコンセプト・カーは、日本のサクラ、扇、障子、歌舞伎などにヒントを得ている。この手の新型車は目新しさやニッチを狙って開発された商品ではない。あくまで主流に狙いを定めたものだ。

どこでつくられたかより
どこをイメージさせるか

 では、どうすれば欧米企業は、このトレンドをビジネスに生かすことができるだろうか。