1万7000件の特許を分析してみると――

 このところ異分野融合が花盛りである。小売業であろうと研究機関であろうと、あれこれ取り混ぜれば、創造的な空気が醸成されること間違いなしというわけだ。

 ニューメキシコの美しい丘の上に建つサンタフェ研究所は、物理学者、生物学者、実業家、社会科学者などを集めて、さまざまなアイデアを融合させている。

 ハーバード大学では、理学部、工学部、医学部、ビジネススクールが一致協力して、イノベーションを促進する学際的なキャンパスを、まもなくオープンさせる予定である。

 もちろん、学際的企業として有名な、シリコンバレー企業であるIDEOも忘れてはならない。同社は、〈パーム・パイロット〉をはじめ、子ども用歯ブラシ、機能的なマウスのデザインで知られている。

 たしかに、このように寄せ集めれば、革新的なアイデアも生まれてくるかもしれない。しかし問題は、それらのアイデアがどれほど優れているかということだ。

 私は1万7000件余りの特許について調査した。その結果、異分野融合によるイノベーションは、従来の自前主義によるイノベーションに比べて、平均して金銭的価値が低いことが判明した。要するに、メンバーの専門分野が他のメンバーのそれと大きく隔たっていると、イノベーション全体の質が落ちるのである。

 しかし、この調査はもう一つのことを明らかにした。めったにないとはいえ、分野横断的な取り組みからひとたび画期的な発明が生まれると、現時点で最も優れたイノベーションをはるかに凌ぐ高い価値となるのである。

やはり多様性がブレークスルーを創発する

 イノベーションの平均的な価値は、各メンバーが専門とする分野の類似性や関連性と反比例の関係にある(「ブレークスルーの関係性」を参照)。ちなみに一つひとつの点は、イノベーションを表す。