LEDに変わる照明市場

 今度、赤信号で止まったら、信号機に注目してほしい。アメリカでは、2004年現在、赤信号の半数以上にLEDが使われている。半導体技術を利用したLEDは、全世界で790億ドル規模の照明市場をひそかに変貌させつつある。

 2004年に上市されたヨーロッパ車のうち、ダッシュボード・パネルの照明に発光ダイオード(LED)と呼ばれる半導体素材を利用した車は80%を超える見込みだ。

 また、携帯電話のバックライトなどに使われる高輝度LEDの年間売上高は、30億ドルに上る。アメリカでは、自動車のブレーキ灯の大半が、長時間点灯のLEDを利用している。

「LEDは、ほぼ100年ぶりに登場したまったく新しい照明技術です」。ニューヨーク州トロイにあるランセラー・ポリテクニック・インスティテュート照明研究所の研究所長、ナダラジャ・ナレンドランは言う。

 LEDとは、簡単に言えば、通電すると光る極小の半導体チップのことである。チップの組成と構造によって、つくり出される光の波長が決まるため、特定の色を発光する。また、エネルギー効率に優れ、従来の光源に比べて、熱の放出がはるかに少ない。

 ただし、いかに望みどおりの色調で、明るく発光させられるかという問題があった。

 しかし、1990年代半ばに実現した科学的な大躍進のおかげで、長らくLEDの究極の目標であった、白色灯の生産が、商業ベースに乗るようになった。