株主も取締役も経営陣に任せ切り

 優れた意思決定は、CEOに欠かせないスキルの一つである。しかし、重大な決定は非公式に下されることが多く、その結果だけを甘受しなければならない者にすれば、CEOの考え方を外からうかがい知ることはほとんどできない。

 このような意思決定を正しく評価するには、CEOその人について知らなければならない。その考え方は戦略的だっただろうか。毅然と行動しただろうか。自分たちの都合ではなく全体の利益を優先させただろうか等々――。

 残念ながら、株主や取締役などが経営陣の意思決定プロセスを目にする機会はめったにない。

 最終的に、彼らは委任状を用いての意思決定を評価する。すなわち、経営環境や個人的な資質をよりどころに、意思決定の是非を判断するのだ。

 さまざまな選択肢を検討するのではなく、だれが意思決定に関わったかに重きが置かれる。しかも意思決定者がCEOの職責を果たすべく行動したかではなく、それらしく振る舞っていたかどうかに左右されがちである。

 経営陣への委任は、株主総会に直接出席しない株主には便利かもしれない。しかし、あくまでも次善の手立てにすぎず、CEOの才能を判断するうえでは間違った方向へと導いてしまうかもしれない。