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年金リスクは無視されている
年金債務の引当金が不足していたために、かつては堅調だった企業の財務内容が悪化した。いまでは、たいていの経営者がこんな話を耳にしたことがあるだろう。
何と、ゼネラルモーターズのような大企業ですら例外ではないらしい。となれば、「財務諸表に業績と資産内容を正確に反映させろ」と、投資家たちが文句をつけたくなるのももっともである。
しかし、このような怒りは、いささか矛先を間違えているようだ。企業の年金勘定を診断するのは相当難しいにもかかわらず、株式市場は退職年金引当金の余剰や不足を株価にきちんと織り込んでいる。この事実は学術研究によって、かなり前に実証済みである。
しかし、株主にすると、これ以上に高いリスクが存在する。それは、年金基金の一部を株式などのリスク資産で運用する一方、返済義務のある年金債務を抱えるというミスマッチから生じるリスクである。こちらについては、残念ながらあまり研究は進んでいない。
私はハーバード大学の同僚、リ・ジン、ボストン大学のズ・ボディと共同で株価の実証研究を実施し、市場が株価のリスク評価において年金リスクも織り込んでいるかどうかを調査した[注]。



