そんな節目節目を支えたのが、BCGのアラムナイネットワークだった。「BCGを卒業した多くの方々が事業会社で活躍されていますが、私と同じように壁にぶつかった経験をお持ちです。そういう人たちから率直な話を伺うのが私の支えになりました」
加えて、BCG時代に数多くのクライアント企業のCEOやCxO(経営幹部)と接してきた経験も、自身がリーダーとなってから大きな財産になったという。経営の生々しい課題に向き合う経営者たちの実像を見てきたからこそ、自分が壁にぶつかるのは当然だと思えた。
さらに、中島氏がBCG時代に実感したのが、「組織はロジックだけでは動かない」という真理だ。「どれほど正しい答えであっても、人は論理だけでは動きません 」と話す。
緻密な分析とロジックで示された解決策は、頭では理解できても、100%納得して熱意を持って実行できるとは限らない。ロジックで説明したうえで、何が大変なのか、何に抵抗があるのかを本音で語り合う。その理由は人によって異なるからこそ、一対一で腹を割って向き合うしかない。
BCGを卒業しても、切れない縁がある
アラムナイが第一線で活躍し続けることは、BCGにとってどんな意味を持つのか。北沢氏はこう語る。「現役でBCGで働くメンバー、特に若手からすると、卒業後も活躍しているアラムナイがロールモデルになりますし、モチベーションの源泉にもなります。中島さんのような先輩を見ていると、BCGで築いた経験が、こうしたキャリアへの道を拓くのだと実感できます」
アラムナイがクライアントになることもある。BCGのカルチャーを理解するアラムナイとは共通言語で深い議論ができ、互いにプロフェッショナルとして尊重し合う関係を築いている。
中島氏は事業会社側の視点から、「BCGは簡単に諦めない、困難な課題に一緒にチャレンジしてくれるという信頼感があります。経営者としてキャリアの正念場に向き合う時、信頼できるパートナーがそばにいてくれる安心感があればこそ、悔いなく走りきることができます」と語る。その言葉には、卒業後も色あせないBCGへの信頼がにじむ。
中島氏自身、BCGは「おのれを知る」場でもあったと振り返る。入社して間もない頃は、プロジェクトに貢献できない自分と向き合ったが、ある時、当時の先輩が強みを見つけ出してくれた。
「3つ目のプロジェクトで当時のプロジェクトリーダーに私の強みを発見してもらって、それが自信になりました」
自信がつけば弱みにも冷静に向き合え、克服できる。そして、自分の強みをさらに強化しようという意欲も湧く。中島氏は、キャリアの次のステージを見据えるすべての人たち に向けてこう言葉を送る。「今後、結婚や子育てなどライフステージが変化したら、働き方も変わるかもしれません。どんな環境でも価値を発揮できる力を身につけておくことで、その後のキャリアでも道を切り拓きやすくなると思います」
BCGでの経験は、業種や国境を問わず通用する、真のプロフェッショナルとしての証となり、若いうちに身につけたハードスキル、ソフトスキルはキャリアの選択肢を大きく広げてくれる。BCGを離れてなお色あせない学びと信頼の礎こそ、二人が語る「BCGで働く価値」の本質なのだろう。

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