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「どの政策が効果的で、どれがそうでないか。その問いに答えるためのツールとインフラの開発に、私はキャリアを捧げてきました」
2019年に(マイケル・クレマー、研究パートナーで夫のアビジット・バナジーと共同で)ノーベル経済学賞を受賞したエステル・デュフロは、この栄誉に輝いた2人目の女性であり、46歳で史上最年少受賞の記録を更新した。3人は、貧困を解消する政策介入の有効性をランダム化比較試験で検証する手法を普及させた。
デュフロはマサチューセッツ工科大学(MIT)教授で、同大学のアブドゥル・ラティフ・ジャミール貧困対策研究所(J-PAL)の共同創設者兼共同所長を務めている[注1]。2011年のバナジーとの共著『貧乏人の経済学[注2]』は、2025年に完全改訂版[注3]が刊行された。
HBR(以下太字):なぜ経済学者になったのですか。
デュフロ(以下略):ずっとなりたかったわけではありません。8歳か9歳の頃から、貧困というものを強く意識していました。小児科医だった母が、戦争で傷ついた子どもを支援するNGOでボランティアをしていたためです。
貧しい人たちを助ける方法を見つけたいとは思っていましたが、具体的な計画はありませんでした。いわゆる優等生としての進路を歩み、大学では歴史を専攻して、カリスマ的な教授に「経済学は役に立つよ」と言われて副専攻に加えました。それでも当時は、経済学が特に実用的だとは感じていませんでした。
大学4年生の時、ロシアで1年間、ティーチングアシスタントとして働く機会がありました。ちょうど共産主義から資本主義への移行期で、至るところに経済学者がおり、彼らは中央銀行や財務省、民営化を担当する省庁で助言していました。経済学者がいかに強力で、影響力を持ちうるのかを、目の当たりにしたのです。これが経済学者の仕事か、と思いました。私も学者になろう、政治家より自分の性格に合っているし、実際に世界に影響を与えている、と。



