慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)教授
博士(SDM学)/PMP(Project Management Professional)
当麻哲哉
サマリー:先行き不透明な現代において、次世代のPMOには、QCDの達成にとどまらず、全体を俯瞰し、「長期的な価値創造」を見据える役割が求められている。慶應義塾大学大学院教授の当麻哲哉氏が解説する。

プロジェクトマネジメントのあり方が転換期を迎えている。従来の「計画通りに進める」管理手法だけでは、真の価値は生み出せない。長期的価値を創出し、企業に変革を根づかせるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の条件とは何か。慶應義塾大学大学院教授の当麻哲哉氏がひも解く。

複雑化と変化の加速化に直面する経営環境

 不確実性が常態化し、ビジネスを取り巻く環境が猫の目のように様変わりする今日、新規事業開発やDX推進などをつかさどるプロジェクトマネジメントのあり方にも変化が表れている。プロジェクトマネジメントを研究領域の一つとする慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授の当麻哲哉氏は、現在の経営環境を次のように指摘する。

「世の中が非常に複雑になっており、環境変化も加速化しています。そのため、プロジェクトも『複雑な環境にもかかわらず、早く終わらせなければならない』という、すごいジレンマが生じています」

 かつてのプロジェクトマネジメントは、計画の立案から目標達成までの各工程を順番に完了させていく「ウォーターフォール型(予測型)」の管理手法が中心だった。しかし、プロジェクト進行中にも刻々と状況が変わり、顧客の要求も変化していく現代においては、単に初期の計画通りに管理するだけでは意味のある結果が出せないケースが増えている。

 加えて、日本の商習慣で多い「丸投げ」も限界を迎えている。