分断が進む世界における日本企業の役割は「再接続」
このリーダー像の輪郭は、山田氏が長年接してきた日本企業の経営と現場から形づくられた。
「私のリーダーシップ論は、日本企業の経営者や現場と向き合う中で得た実感がもとになっています。経営層に見えていない変化の兆しを現場が捉え、それを顧客価値に変える。事業の柱が変わっても、長期視点で粘り強く育て直す。信頼を基点に異なる立場の人たちを巻き込んでいく。こうした強みを持つ日本企業は、分断が進む世界を再接続する役割を担えると思います」
日本企業の強みには、大きく3つの要素がある。現場力、長期視点、そして信頼を基点とする経営である。
「自律的に考え行動する現場の力、粘り強く長期視点で事業を育てる経営姿勢、信頼を基点に関係者を動かす力。これらは日本企業が培ってきた強みです。ただし、持っているだけでは競争優位にはなりません。現場力は、デジタルやAIと結びつき、経営判断につながって初めてオペレーショナル・インテリジェンスになる。信頼は、属人的な関係に留めず、組織やエコシステムを動かす経営インフラとして機能させてこそ持続する。長期視点は、事業モデルを問い直し、将来の選択肢をつくる力として使ってこそ意味を持つ。現代の経営能力として、日本企業の強みの『再定義』が求められています」
日本やアジアの企業がこうした強みを経営能力へと進化させ、志を共有する国や企業、パートナーをつなぐことができれば、分断する世界に新たな価値創造の基盤を築くことができる。
アビームコンサルティングは「クライアントファースト、ピープルファースト」を掲げてきた。これは同社のフィロソフィーであると同時に、経営上の判断軸でもある。そのうえで、アウトカムにこだわってきた。
「クライアントの成長と成功を徹底的に追求する。そのための戦略や方策を考え抜き、実行し、成果の定着まで支援する。変革が成果につながれば、関わった人も成長します。そこには、クライアントの社員も、パートナーも、私たちのコンサルタントも含まれます。クライアントの成長と人の成長が互いを促し合い、次の変革を生み出していく。その循環を大切にしています」