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インフレ、AI、地政学リスク……。先行き不透明な変化が次々と起こる中、日本企業は何を拠り所に成長への道を描くべきなのか? 早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)の入山章栄教授と、みずほ総合研究所ストラテジーコンサルティング部の米倉博史部長に聞いた。 ※みずほ総合研究所は銀行内の組織の名称です
計画を立てること自体は、意味がない
「中期経営計画」ではなく、「中期経営方針」を
――日本企業は多くの環境変化に直面しています。入山教授は、特にどの変化が日本企業に大きな影響を及ぼすと見ていますか?
入山 これはもうすべてです。インフレ、AI、地政学リスクなど、あらゆる要素が複合的に絡み合い、同時に襲いかかってきていることが、大きな課題であると見ています。これらによって、「将来どうなるのか?」ということが本当にわからなくなっています。そんな状況が、おそらく我々が生きている間はずっと続くでしょう。
――そうした経営環境の中で、企業経営者に求められることは何でしょうか?
入山 答えを求めても正解は出ないので、まずは、経営者が直感や全体観を持ってビジョンとストーリーをつくり上げ、周囲を巻き込みながら前に進めていくことです。
もちろん、これだけ変化が激しい時代ですから、途中で状況が変わることもあるでしょう。そんな時には、大きな方向性は変えず、変化に応じてそのつど、戦略を見直すことも必要です。たとえ失敗しても、それを糧に変化し続けられる柔軟性が求められているのです。米倉さんは、どう思いますか?
米倉 入山教授がおっしゃる通り、経営戦略を策定するうえで、経営者が考慮しなければならない変数は非常に多くなっています。地政学リスクや、サプライチェーンの変化など、マクロからミクロまで多様な要素を分析する必要があります。さらに、サステナビリティの進展がどれくらいの時間軸で進むのかなど、時間とともに状況はどんどん変わってくるので、未来のシナリオをつくることの難しさが増しています。
入山 そうですよね。こんな状況では、そもそものんびり計画を立てること自体に意味がなくなってきました。社外取締役を任されている会社に対しても、「厳密な中期経営『計画』ではなく、中期経営の『方針』を立ててほしい」と申し入れています。
計画にすると、先が見えない数年先まで数字にコミットしなければならなくなりますからね。もちろん、1年ごとの予算はしっかりつくって達成することを目指すけれど、中期の経営判断に柔軟性を持たせるために、多少の“余白”を設けるべきだと思っています。
米倉 おっしゃる通りで、数字をどうするかということよりもどの分野に注力し、何を今後数年の中で揺るがない軸としてやっていくか、そちらの議論が大事になってくると思います。