ラーニングデザインディレクター
森 杏奈氏
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少子高齢化が進み労働人口が減少する中、いまの日本企業に厚く存在する50~60代の「サードエイジ」。彼らを単なる過去の遺物とするか、未来を切り開く原石とするかで企業の命運は決まる。AI時代だからこそ際立つサードエイジの真価と再活性化の重要性について新たな視点で考える。
50~60代を「お荷物」扱いする日本企業の大問題
日本社会は深刻な少子高齢化が進み、労働人口が加速度的に減少しています。一方で、企業内を見渡せば「サードエイジ」と呼ばれる50~60代の社員が厚い層を形成しています。サードエイジとは、家庭や社会で大きな責任を担う時期を終えた成熟世代を指す言葉です。
現在、多くの日本企業は、次世代を担う若手中心の育成に注力する一方で、サードエイジを戦力としてではなく、まるで「お荷物」のように扱っています。定年制や役職定年制度といった年齢で一線を画す古い慣習によって、豊富な経験を持つ人材を第一線から退かせ、本人のモチベーションまで低下させているのが実情です。
私はこのことに強い危機感を抱くと同時に、大きな可能性を感じています。AI時代において、彼らサードエイジこそが組織の中で最大の価値を生む存在になると確信しているからです。
AIが進化するほど、定型的な作業や既知の問題解決はAIが担うようになります。その時、人間に求められる役割とは何でしょうか。それは、AIの能力を最大限に引き出す「価値ある問い」を立てることです。その「価値ある問い」の源泉となるのは、複雑な人間関係や数々の困難を乗り越えてきた「生きた経験」です。サードエイジはこの「生きた経験」を社内で最も豊富に持っています。AI時代において、彼らはこれからの時代を切り開く人材の「原石」なのです。
多くの企業は50~60代を「給与とパフォーマンスが見合っていない弱み」と捉えがちですが、彼らが未来に適応する能力を身につければ、「弱み」は「強み」へと変わります。経営者は「サードエイジを再活性化して世界をリードする」という逆転の戦略を描くべきなのです。