2010年にINSEADの3人の研究者が発表した全在任期間にわたるCEOの業績を再び調査し、ランキングを作成した。今回は前回よりも新興市場を中心に対象層を拡大し、最終的に3143人の分析を行った。それにより、グローバル比較が行いやすくなったほか、社会・環境面への取り組みも評価できるようにした。前回と同じく、第1位に輝いたのはアップルのスティーブ・ジョブズである。しかし、第2位にアマゾンのジェフ・ベゾスが入るなど、ベスト100の顔触れには大きな変化が見られた。高業績につながる諸要因を分析していくと、全体的には前回と同じ傾向が見られたが、国や地域ごとの違いも浮かび上がってきた。最近は企業に対して、経済面だけではなく、社会面や環境面での貢献が重視されるようになっている。しかし、そうした側面と財務業績との相関関係は見出されなかった。両方で卓越した業績を出すことは難しいが、ロール・モデルとなる企業やCEOの存在が明らかになった。

CEOの長期的な業績を評価する意義

 長期的な業績を二の次にして、短期的な利益の追求に注力するCEOが多いが、これは偶然なことではない。

 四半期または年間でよい結果を出さなければ、彼らの報酬は大幅に下がり、その座を追われかねない。当期目標が達成できなければ、株式アナリストや株主、そしてしばしば取締役会でも、厳しい評価にさらされる。一方、3カ月先や半年先の状況について、さほど強いプレッシャーは受けない。CEOの近視眼的な言動は変わりそうもない。