-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
新たなイノベーションの基準
近年のリセッションには見向きもされなかった「イノベーション」が、再び企業の注目を集めるようになっている。しかしながら、たいていの企業で、イノベーションのプロセスは錆びついたエンジンのように不具合を抱えている。内燃機関と同様、従来のイノベーションは陳腐化に向かっており(なぜなら変数が様変わりしたから)、そうとは気づかない企業はその道連れにされてしまう。
ほとんどのイノベーション・プログラムは、生活が豊かでモノが豊富にあることを第一に考えている。多ければ多いほどよい。利益を増やそうと努めるのがビジネス・スクールのいろはである。
しかし欧米では、金融危機に動揺した消費者が、値段の安い、あるいは価格に見合う価値のある製品・サービスを求めている。経済成長が著しく、今後10年で20億~30億人が中流階級の仲間入りをするであろう中国とインドには、安い製品やサービスにしか手が出せないこれまであまり物を買ったことがない人々が何十億といる。先進国にも途上国にも、環境に優しい製品・サービスを求める富裕層や若者がいる。いまやイノベーションを後押しするのは、プレミアム価格や豊富さではなく、値頃感や持続可能性である。