CFOの要件は
「CEO+ファイナンス」
次に講演したのはLIXILグループCEOの藤森義明氏。25年にわたってGEでキャリアを積み重ねた藤森氏は、「GEでは、内部でポジションが変わり新しい事業を任された時には、CFOと人事責任者を連れて行きました。そのスタイルは、LIXILグループCEOとなったいまも変わりません」と語る。

取締役代表執行役社長兼CEO
藤森義明氏
2011年にLIXILグループ(当時・住生活グループ)入りした藤森氏はアグレッシブな目標を掲げて事業の成長を牽引している。
「これまで、グローバル展開やコスト構造の見直しなどに取り組んできました。目標は売上高3兆円、営業利益率8%。売上げの内訳は国内2兆円、海外1兆円を想定しています」と藤森氏。同氏が着任した当時の海外売上高は400億円程度。海外事業の成長に向けてM&Aにも積極的だ。そこで大きなテーマとなるのが、人材育成を含めたグローバル経営の体制づくりだ。
「3つの柱がありますが、その1つはローカル化によるグローバル化。できるだけ買収先の人材、現地の人材の力を生かす方向で考えています。第2に、ダイバーシティの尊重。第3に、世界共通のコア・バリューと人事制度づくりにも取り組んでいます」
また、グローバル・リーダーの育成にも注力している。「マネジャーは人を管理するのが仕事ですが、リーダーは人に影響を与えなければなりません。リーダーにとって重要なことは変革を起こすことであり、人を育てることです。そんなリーダーの集団をつくっていきたいと考えています」と話す。
藤森氏にとってCFOはグローバル経営のパートナー。それだけに、CFOへの期待は大きい。
「簡単に言うと、『CEO+ファイナンス』がCFOの要件だと思っています。経営全般について私と同等の能力を持ち、一方ではファイナンスの専門性も備えた人材。ある意味では、私を超える経営者です。また、CEOが独断に走った時には、だれかがそれを止めなければなりません。CFOはその役割を担うべき人物の1人です。このほか、ファイナンスのチームおよび人材の育成や、強い財務基盤を築くこともCFOの重要な仕事。CEOと共に企業そのものを強くするのです」