交渉に重要な5つの戦略

 相手に「イエス」と言わせるのは、とかく一筋縄ではいかない。とりわけ現代のビジネスのテンポと組織構造においては簡単なことではない。CEOをはじめとする経営陣は、一刻一秒を争うプレッシャーの下、機能や事業部の垣根を超えて、提携先企業や主要なサプライヤー、また顧客や規制当局と、複雑かつハイ・リスクな駆け引きを進めている。

 経営幹部の多くは、常に交渉の状態に置かれていると感じており、数億ドル(時に数十億ドル)がかかった案件をめぐって、自社(そして自分自身)の命運を握る相手たちから、できるだけ早く承認を得ようとする。こうした経営幹部たちにとって交渉は単なる取引ではない。刻々と変化する情報や状況に適応することだ。

 アメリカ軍の士官たちは、世界じゅうで毎日こうした難問と向き合っている──アフガニスタンやイラクの危険地域をパトロールし、警戒を解こうとしない地元のリーダーを説得して重要な情報を教えてもらいつつ、敵か味方かを判別し、部下を守りながら、地域と世界に対するアメリカの権益のために地元住民からのサポートを築くよう試みる。