エネルギー技術は普及までに時間がかかる

 起業家や投資家たちは、世界じゅうでブームになっている環境技術を最大限に活用しようと、あらゆるエネルギー関連分野でイノベーションを打ち出している。そのようなプロジェクトの多くがきわめて有望であり、2009年12月にコペンハーゲンで開かれた第15回気候変動枠組条約締約国会議(COP15)で協議された、温室効果ガスの上限排出量を守るうえでも一助となろう。

 とはいえ、わかっている人こそ少ないが、憂慮すべき現実がある。すなわち、エネルギー関連のイノベーションは、大きな可能性を秘めているものの、これらが一般に利用できる頃には、事態は手遅れになっているおそれがある。歴史的に見て、技術的ブレークスルーの大半が、マス市場に現れるまで数十年を要している。

 科学者たちの提言に従って、全世界のCO2排出量を今後40年間で半減させるには、環境技術を大規模かつ広範に普及させなければならない。イギリスのシンクタンクである王立国際問題研究所(通称チャタム・ハウス)と特許調査会社のケンブリッジ・インテレクチャル・プロパティによれば、これらの技術が広く利用できるまでに、これまで19~30年かかっているという。