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雇用と解雇を繰り返す
大企業の不条理
世界中の企業が知識労働者のマネジメントに骨を折っている。最高の人材を見つけ出し、会社につなぎ止めようと激しく競い合った結果、数千人に上るマネジャーを抱え込んでしまうケースもよく見られる。当面はそれで問題ないが、経済状況にうっすら影が差し始めると、高賃金社員の生産性が期待ほど高くなかったことに気づくのが常だ。そして経費削減に苦しんだあげく、バッサリと彼らをレイオフする。ところがしばらくすると、再び人材獲得に乗り出すのである。
このサイクルは非常に害が大きい。人的コストと社会的コストは別にしても、何であろうと経営資源というものをこんな方法で管理するのは、非常に効率が悪い。ましてや人的資源は今日では成長の原動力だと広く認識されている。とりわけ理解に苦しむことは、こうしたことを繰り返す企業のなかに、アメリカで最高のロール・モデルとして崇拝される企業が何社か含まれている点である。
たとえば、ゼネラル・エレクトリックは管理職に対する大規模なレイオフを1980年代から90年代初頭にかけて行った。その後社員数は徐々に増加したものの、2001年にはもう一度レイオフに着手すると公表する。2007年までに社員数は再び回復したものの、同年の不況によってまたしても人員削減を余儀なくされた。他にもコルゲート・パーモリーブ、メットライフ、ヒューレット・パッカード(HP)、ペプシコなどの企業はみな近年、同様のことを経験している。