コンサルティング業界で
いよいよ聖域が消えつつある

 グローバルに事業展開するコンサルティング・ファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーは、何年にもわたる議論と研究を続けた後、2007年、一連のビジネスモデルのイノベーションに乗り出した。これは顧客との関わり方を刷新する可能性を秘めている。

 最も興味深いのは、〈マッキンゼー・ソリューションズ〉という、ソフトウエアとテクノロジーを土台とした解析サービスとツール類である。導入した顧客には、従来のプロジェクト単位でのコンサルティング・サービスとは別立てでサービスを提供する。サービスの分割提供に乗り出し、信頼性の高い知識資産にこれほどまでに力点を置くのは、同社始まって以来である。

 たしかに、マッキンゼーや他のコンサルティング・ファームはこれまでも、ゼネラリスト重視から職能重視へ、国・地域別組織からグローバル組織へ、緊密なチーム体制から遠隔地のエキスパートをクモの巣状につないだチームへというように、何度も変革を経験してきた。しかし、〈マッキンゼー・ソリューションズ〉の提供は人材の配置を伴わないため、過去の変革とは大きく異なる。