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「一対多」の医療提供の試み
「胸の上に象が乗っているみたいでした」と患者は説明した。医師はなるほどというふうにうなずく。しかし、うなずいているのはこの医師だけではない。「その症状、私も同じです」と、別の患者が冗談めかして言う。
これはバージニア大学ヘルス・システムで導入された「診療予約を共有する」取り組みで、「クラブ・レッド」と呼ばれる。心臓病予防の医療提供のあり方としては実に画期的なイノベーションである。これまでの同大学システムでは、心臓病患者は医師との診察時間に30分を割り当てられている。クラブ・レッドでは、その一対一の診療か、90分の集団診療かを選ぶことができる。後者の場合、心臓医が最大で12名もの患者を一緒に診る。
クラブ・レッドのメンバーは待合室では待たず、会議室に集まり、そこで必要なフォームに記入する。各患者が短時間の検査を個別に受けている間、おしゃべりをしながら待ってもよい。集団診療では、医師が一人ひとりに助言を与え、処方箋を確認し、検査を指示し、各患者の進捗や課題、今後の治療計画を話し合う。