ウォルマート
その競争力の秘密

　持続的な高業績を手にするのは、おのれの強みに集中している企業である。実に単純な真理だが、いざ実行に移してみると非常に難しい。

　すべての事業部門や製品ラインに関する業務上の判断において、「他社よりうまくできること」に焦点を絞っている企業は稀である。差別化をもたらすケイパビリティと適切な市場ポジション、すなわち内と外をうまくマッチさせている企業となると、さらに数が少ない。このような企業には、我々が言うところの「共通性」（coherence）がある。

　共通性に関するテストがあれば、大半の企業が不合格である。それは、社外のポジショニングに気を取られすぎて、社内のケイパビリティへの関心をおろそかにしているからだ。これらの企業は、売上増への強烈なプレッシャーに屈し、成功を続けるためのケイパビリティを持ち合わせていない市場で事業を展開する。