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企業の新規事業への対応には進歩がない
CEOはジレンマに直面していた。既存事業の売上げと利益は伸び率が低下し、コストもすでに大胆に削減した。市場が成熟しているため、株価を上げるには会社を成長させなければならない。しかし買収は高くつくし、リスクを伴う。そこで、成長ポテンシャルの高い分野で多数のプロジェクトを立ち上げ、有望な若手マネジャーをそれらのリーダーに任命する。新規事業がのびのびと活動できるよう、スタッフ部門の信頼できる幹部をトップに据えた成長特別委員会を設置し、若手マネジャーにはそこへ報告させる。既存事業とは安全な距離を保てる位置付けにする。
どこかで聞き覚えがあるとしたら、それもそのはず。この20~30年、何千とは言わないまでも何百もの大手・中堅企業で、実際にこういうやり方が取られてきたのだ。
しかし、さまざまな企業で働き、アドバイスを提供し、調査を実施した我々の経験から言えば、成長を目指すに当たってのこの「常識」はむしろ失敗を招く。だから、既存企業が手掛ける新規事業はほとんどが頓挫し、大手も含め、おそらくいまある企業のほんの一部しか四半世紀後には生き残れない。