組織の頼みの綱となる
「ディープ・スマート」

「彼がいなかったら、どうしていいかわからない」。これは先日、フォーチュン100社に名を連ねる企業の経営幹部が、ある有能なプロジェクト・リーダーを評した言葉である。

 知識の活用と共有に関するリサーチの一環である、100人以上を対象にした聞き取り調査でも、非常に優秀なエキスパートに対して似たような感想が幾度も聞かれた。

 NASA(アメリカ航空宇宙局)、アメリカ森林局、SAP(ドイツのソフトウエア会社)、レイセオン(アメリカの軍需製品メーカー)など大小さまざまな組織のマネジャーも、「ディープ・スマート」[注]を備えた同僚に対する厚い信頼を口にしている。ディープ・スマートとは、長年の経験によって培われるビジネスに必要不可欠な専門知識のことで、戦略と戦術の両面における賢明かつ迅速な意思決定に役立つ。ディープ・スマートの持ち主は、ナンバーワンの営業担当者、高度な技術専門家、危機管理責任者、あるいは、業務上の問題解決エキスパートであったりするが、いずれもある種の知識について、その組織の「頼みの綱」となる存在である。