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サプライチェーンのリスク管理がもたらす悲劇
サプライチェーンのリスク管理はこれまで、自社の業務を著しく混乱させるすべての潜在的事象の発生確率と、その影響度を知ることに頼ってきた。サプライヤーの供給力不足や予測外れ、輸送系統の機能停止といったよくあるサプライチェーンの混乱に関しては、過去のデータを使ってリスク水準を定量化する方法で非常にうまくいく。
しかし、可能性は低くても、ひとたび起こると甚大な影響を及ぼす事象となれば話は別だ。2005年のハリケーン・カトリーナのような大災害や、2003年におけるSARS(サーズ)のようなウイルス性伝染病の流行、あるいは工場火災や政変のように予測不能な出来事による深刻な供給停止などがそれに当たる。めったに起こらないこれらの事象に関する過去のデータは少なく、まったく存在しないこともあるので、過去のモデルを使用してリスクを定量化することは難しい。
そのため、多くの企業は十分な備えができていない。不幸にして、こうした大惨事に見舞われた場合は悲惨な結果となり、オペレーションの効率に定評のある企業でさえも、混乱を収拾するのに苦慮することがある。2011年の東日本大震災後のトヨタ自動車を見てみるとよい。