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成功しているヨーロッパの製造業の共通項
10年ほど前まで、製造業が競争力をつける最上の策はリーン生産方式の導入だった。しかし、この手法が広く普及した結果、以前ほどコストと品質の面で差別化が図れなくなっている。
欧米先進諸国のメーカーにとって、これは深刻な課題である。なぜなら中国やメキシコ、ブラジルといった新興の大国の工場が、格段に安い人件費を引っ提げて競争に加わっているからだ。これでは価格で太刀打ちできない。しかも、これらの低コスト工場の多くは品質基準が高く、大量生産に対応できる。そのうえ、世界のどこの工場と比べても見劣りしないほど、生産手法は発達しているのだ。
それでも、ヨーロッパのメーカーはこの逆境に向かって立ち上がった。我々は、1995年からその姿を追っている。ヨーロッパの一流ビジネス・スクール数校の関係者とともに、毎年ヨーロッパで「卓越した」製造事業者を表彰する「インダストリアル・エクセレンス」賞の審査員として、我々は応募事業者の書類を審査しているのだ。フランス、ドイツ、オランダ、スペイン、イギリスなど対象国の工場数カ所のほか、東欧の提携工場も毎年視察している。労働者の雇用や施設、機器類の使用について、西欧諸国に課されている規制は世界で最も厳しい部類に入る。にもかかわらず、同賞を受賞した工場は総じて、きわめて競争の激しい業界で成功を収めている。