セルフ・マネジメントは仇にもなる

 我々が1日に口にする言葉は、平均1万6000語に及ぶ。それでは、発話されないまま頭のなかを駆けめぐる言葉は、どれほどに達するのだろうか。

 その多くは、事実ではなく、感情絡みの評価や意見である。肯定的で有益なもの(「私はよくがんばったから、このプレゼンテーションはうまくいくだろう」「この問題は、取り上げる価値がある」「新しいバイス・プレジデントは気さくな人のようだ」)もあれば、否定的であまり役立ちそうにないものもある(「彼はわざと私を無視している」「笑い物にされそうだ」「私はペテン師だ」)。

 社会通念上、やっかいな考えや感情は職場では排除すべきものとされている。経営幹部、とりわけリーダーは感情を表に出さず平然としているか、明るく振る舞うかしなければならない。自信をみなぎらせ、胸の内に湧き起こるいかなる否定的思考や感情も振り払うべきなのである。