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自社株買いが阻害する
公正な所得配分と安定雇用
「グレート・リセッション」(大不況)が終わったと、政府が公に宣言してから5年。いまや企業は大きな利益を上げ、株式市場は活況を呈している。にもかかわらず、ほとんどのアメリカ国民は景気回復の恩恵にあずかっていない。
景気回復による給与上昇分のほとんどは、給与所得者の上位0.1%(民間企業の最高幹部は大半がここに含まれる)が手にしている。好条件の仕事は次々と消え続けており、新しい雇用先は不安定かつ低賃金であることが多い。企業の収益性向上が、経済全体の広範な繁栄につながっていないのだ。
このような事態を招いた主な要因は、企業の儲けを自社株買いに充てたことにある。これは非難されるべきことだ。株価指数のS&P500を構成する銘柄のうち、2003年から2012年までの期間に上場していた449社を見てみよう。449社は、この期間に稼いだ金額の54%(合計で2.4兆ドル)を自社株買いに使った。そのほとんどは公開市場を通じて行われており、さらに稼ぎの37%は配当に使われている。それによって、生産能力を高める投資や社員の収入アップに充てるための資金はほとんど残らなかった。