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産業競争力の問題は
もはや待ったなしである
アメリカは、現在の経済危機から回復しようと努力しているが、その過程において不愉快な事実を知ることになるだろう。
1980年代と90年代初め、アメリカの競争力が取り沙汰されたが、この問題はすでに解決済みというわけではなかった。バブル期の間、繁栄の幻影によって隠されていただけであり、アメリカの産業基盤は侵食され続けていた。
アメリカはついに、この問題と真剣に向き合わなければならない。富を創出する仕組みを再構築すること、言い換えれば、アメリカ国内でハイテク製品を開発・製造する能力を回復することが、アメリカが巨額の赤字を返済し、国民の生活水準を維持ひいては向上を望める唯一の方法なのである。
競争力の低下という流れを反転させるには、次の2つの抜本的変革が必要となろう。
・政府は、基礎科学と応用科学の両方の研究を支援する方法を見直し、大きな社会問題に取り組むうえで欠かせない、産官学の幅広いコラボレーションを推し進めなければならない。
・企業経営者は、二度と経営者報酬を肥大化させないよう、また製造のアウトソーシングとR&D投資の削減に潜む危険を軽視しないよう、経営慣行とコーポレート・ガバナンス体制を全面的に見直さなければならない。
過去20年のほとんどにおいて、産官学はそろって、アメリカ経済の驚くべき成長は、レッグ・ウォーマーやジャズ・ダンスと同じように、アメリカの競争力に関する問題が陳腐化した証拠であると自画自賛してきた。
しかしデータによると、そうではないらしい。つまり、2000年を境に、これまでアメリカの強さの拠りどころであったハイテク製品の貿易収支は減少に転じている。2002年には、初めて赤字となり、2007年現在、減少が続いている(図表1「問題の兆候」を参照)。