IT革命が起こり、今回の金融危機が訪れるまで、アメリカ経済は繁栄を享受してきた。しかし、それはバブルであり、その間、アメリカ製造業、とりわけハイテク産業の競争力が蝕まれていた。現在、次世代技術やそれを用いた製品の開発において、完全にアジア勢に後れを取っており、キャッチアップすら難しい。何よりアウトソーシングがその元凶であった。なぜなら、アメリカ国内に多数存在していた「産業コモンズ」、すなわちイノベーションの源泉である技術や知識の集積が、他国に移転してしまったからである。アメリカ経済が復活するには、イノベーション立国を目指して、産業コモンズの再構築に取り組む必要がある。