ビジネスモデル・イノベーションを体系的に実践する

 ビジネスモデル・イノベーションは実に優れている。簡単に言えば、新しいテクノロジーも必要なければ、まったく新しい市場をつくり出す必要もない。「既存の」テクノロジーで生み出される「既存の」製品を、「既存の」市場に提供すればよいのだ。しかも、外部には見えない変化を伴うことが多いので、それがもたらすメリットは模倣されにくいという特徴もある。

 難しいのは、ビジネスモデル・イノベーションには何が必要かをはっきりさせることである。機会を特定するための枠組みがなければ、ビジネスモデル・イノベーションのプロセスを体系的に理解することは難しく、どうしても場当たり的な施策に陥りやすい。その結果、多くの企業は、それほど費用をかけずに収益性や生産性を向上させるチャンスを逃しているのだ。

 本稿では、ビジネスモデル・イノベーションを「改善可能で信頼できる規律」のレベルにまで高めるための枠組みを提示する。どのようなビジネスモデルも基本的には、企業がどうやって収益を上げ、費用を負担し、リスクを管理するかを包括的に決める一連の意思決定にほかならない。