CSR戦略を見直す必要性

 多くの企業は長い間、持ちつ持たれつの関係にある地域社会に貢献するという、言わば大まかな目標を掲げつつ、社会と環境に対する責任を何らかの形で果たしてきた。そして近年、企業はCSR(企業の社会的責任)を自社の規範としていっそう重視するとともに、個々の取り組みに事業成果を求める圧力や要求も高まっている。この動きはCSRに多くを求めすぎであり、「企業の社会・環境活動を事業の目的や価値に適合させる」というCSRの本来の目標からも逸脱している。

 実際にCSR活動への圧力や要求が高まることで、社会や環境に与えるリスクが緩和され、企業の評判を高め、事業成果に貢献するならば、それはそれで喜ばしい。ところが、多くのCSRプログラムにとって、そのような結果は一種の波及効果であり、そもそもの存在理由ではない。

 本稿では、CSRが本来の目標に立ち返らなければならない理由を述べるとともに、CSR戦略に一貫性と規律をもたらす体系的なプロセスを紹介する。