過去の業績管理から
将来につながるか

 我々は現在デロイトにおいて業績管理システムを再設計している最中だ。そう聞いても驚く人は少ないだろう。他の多くの企業と同様、社員の仕事ぶりを評価するいまのやり方──ひいては、それをもとにした研修、昇進、報酬の決め方──は、次第に本来の目的からずれてきているからだ。

 デロイトが最近実施したアンケート調査によると、回答した企業幹部の半数以上(58%)は、現在の業績管理のやり方が従業員エンゲージメントの向上にも高業績の達成にも役立っていないと考えている。彼らに、そして我々にも必要なのは、より機敏でリアルタイムに実行でき、もっと個々人に合わせた何か──過去の業績を評価するというよりも、今後の業績にしっかりと焦点を当てた何らかの方法である。

 ところで、この新しい業績管理システムに我々が「何を含め、何を含めない」つもりかを聞けば、驚く人は多いかもしれない。この業績管理システムには連鎖目標(cascading objectives)も年次評価も360度評価のツールも含まれない。我々がたどり着いたのは、これまでの仕組みと大幅に異なり、はるかにシンプルな設計のものだ。