HBR(以下略) あなたは、常に日常のレベルに目線を置いて考えています。そこで、来るべきポスト資本主義社会において、マネジャーはどのようにその責務を果たすべきか、このことについてうかがいたい。

P. F. ドラッカー(以下略) だれのコントロール【*】も受けず、だれもコントロールしない、つまり「指揮権というものが存在しない状況下で、いかにマネジメントを行うか」について学習していく必要があります。

 いまだにマネジメントの教科書は、「どのように部下をコントロールするか」を中心に論じています。ところがいまや、何人の部下を抱えているかという基準で、マネジャーの優劣を評価することはありません。

 このような基準よりも、どのように複雑な仕事を処理しているか、どのように情報を活かし、創造しているか、どのように必要不可欠な関係性を維持・構築しているかのほうが、評価基準としてよっぽど重要です。

 マネジメントの教科書同様、ビジネス関連の報道も、依然、「どのように子会社を管理すればよいか」について論じています。しかし、このようなコントロール志向のアプローチは、1950年代、あるいは60年代の話です。現実は、多国籍企業そのものが、急速に崩壊しつつあります。

 企業はこれまで、新規事業をゼロから立ち上げるか、あるいは買収してしまうか、いずれかの方法によって成長してきました。そして、いずれの場合においても、マネジャーによるコントロールが存在していました。

 しかし現在では、企業は何らかの提携を行うことで、つまり、リスクはつきものですが、協力関係を結んだり、合弁会社を設立したりすることで成長しています。残念ながら、ほとんどのマネジャーがこのことを認識できていない。

 従来タイプのマネジャーの場合、経営資源と市場を自らコントロールしていないと安心で善ないようですが、企業成長の図式はこのように変わっており、これは彼らを狼狽させることでしょう。

 ヒエラルキーのない環境下で、マネジャーはどのように仕事をしていくことになりますか。具体的に教えてください。

「あなたのために仕事をしているが、あなたに雇われているわけではない」という人々と、常時仕事を進めていくことになります。