「監査等委員会設置会社」制度と共に、わが国にもコーポレートガバナンス・コードが導入された。2013年6月に閣議決定され、コード制定の契機ともなった「日本再興戦略」から3年を経ようとする今、企業サイドは改革の本質をどう捉え、何に着手すべきなのか。ガバナンス改革の支援を数多く手がけるトーマツのパートナー2人に聞いた。

北爪雅彦
コーポレートガバナンス改革を議論するうえで大切なのは、そもそもガバナンスとは何かという共通認識だ。それがないと議論が拡散してしまいがちになる。
例えば、経営者には効率性を追求して、企業価値を極大化する責任がある。それを果たすために、CEO(最高経営責任者)には業務執行上の権限が集中している。
しかし、「根源的に人は弱い。選ぶべき険しい道がわかっていながら、易きに流れることもあります。人の集合体である組織も同じです。常に自己規律を維持できなくなる脆さをはらんでいます。その脆さをどう補強して、企業としての永続性を保ち価値を高めていくか。その仕組みがガバナンスと言えるでしょう」とトーマツの北爪雅彦氏は語る。