【HBR CASE STUDY】

[コメンテーター]
ジョン R. ホール(John R. Hall)
アシュランド 元会長
イアン・ミトロフ(Ian Mitroff)南カリフォルニア大学マーシャル・ビジネススクール ハロルド・クイントン記念講座 教授
ロビン・コーン(Robin Cohn)リスク・マネジメント コンサルタント
アラン H. シェーム(Alan H. Schoem)ワシントン市 アメリカ消費者製品安全委員会 コンプライアンス局 局長

[ケース・ライター]
ブロンウィン・フライヤー(Bronwyn Fryer)
ハーバード・ビジネス・レビュー シニア・エディター

*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。

悪夢のラジオ放送

 グレッグ・ジェームズは〈レクサス〉のカー・ステレオのボタンを押して、あるラジオ局を探した。そこでは、耳を塞ぎたくなるようなニュースが流れているはずだった。案の定、101.7局では、911番の救急電話の録音通話を流しており、そのやり取りは一種の即興劇を彷彿させるようなものだった。

「助けて。赤ちゃんが──」。若い女性が悲鳴を上げていた。「頭をけがしたんです。血まみれになってる。信じられない、私のせいじゃない」

 グレッグは、最新情報について無理にでも聞こうと努めたが、ひどい不快感にさいなまれた。