【HBR CASE STUDY】

[コメンテーター]
ピーター M. トンプソン(Peter M. Thompson)ペプシコ・ビバレッジ・インターナショナル 社長兼CEO
ジェニファー L. アーカー(Jennifer L. Aaker)スタンフォード大学 経営大学院 助教授
ハリッシュ・マンワニ(Harish Manwani)ユニリーバ ホーム・アンド・パーソナル・ケア部門 ラテンアメリカ地区担当社長
サイモン・クリフト(Simon Clift)ユニリーバ ホーム・アンド・パーソナル・ケア部門 マーケティング担当社長
小田部 正明(Masaaki "Mike" Kotabe)テンプル大学 ウォッシュバーン記念講座教授兼グローバル・マネジメント・スタディ・インスティテュート 所長

[ケース・ライター]
アナンド P. ラマン(Anand P. Raman)HBR シニア・エディター

*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。

未経験のグローバル・プロモーション

 ナターシャ・シンは、ブラックタイ・パーティの参加者の面々がこれ見よがしに似たような次世代デザインのサングラスをかけているのをおもしろがって見ていた。

 時は午後10時過ぎ、場所はロサンゼルス。この夏最大の話題作『ザ・グリッド・リビジテッド』の発表パーティはまさに大盛況であった。この作品は1998年の大ヒット作『ザ・グリッド』の続編であり、その夜は招待客だけに試写された。

 そして、主役2人がかけているサングラスがその日の話題をさらった。しかも、これは天才デザイナー、トム・ストライダーがデザインしたもので、今日のパーティの記念品だと知ると、みな受け取り場所に殺到した。

 ナターシャは、年商11億ドルの世界有数の化粧品メーカー、エスポワールの執行バイス・プレジデント兼グローバル・マーケティング・オフィサーである。