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新興国市場における
政策リスクの落とし穴
技術上、あるいは経営上のケイパビリティを有する企業は価値を生み出す。その企業が海外に投資すれば、株主も投資先の国民も利益を享受できる。
しかし、どんなに外国企業が提供するものと、受入国が必要とするものがうまく合致しているように見えても、成功の保証などない。新興国でも先進国でも、周到に練り上げられた計画が、選挙などの政治的な出来事や経済危機、あるいは社会の風潮の変化などのせいで暗礁に乗り上げることがある。これらの影響が作用し合い、さらに多国籍企業の政治的な選択が関連して、失敗例が目につくようになっている。世界金融危機の後、各国政府が示した安定化への道筋が不確実なせいもある。
経営幹部の報酬に対する税制や金融規制の適正な範囲、国際的M&Aなどの問題が、危機の余波で浮かび上がってきたが、これらの問題に対する見解や政策が国ごとにまったく違うことは、明らかである。危機に対する当面の政策が妥当か否かという議論が、負担者と負担額に関する議論へと移っていくにつれ、この違いはいっそう顕著になるだろう。