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【HBR CASE STUDY】
[コメンテーター]
マーカス・バッキンガム(Marcus Buckingham)社会学者
ジョアン・ビシュマン(Joanne Bischmann)ハーレーダビッドソン バイス・プレジデント
ラース・コリンド(Lars Kolind)元 オーティコン CEO
トーマス・ブロムクイスト(Thomas Blomquist)ウーメオ大学 スクール・オブ・ビジネス 助教授
[ケース・ライター]
ジュリア・カービー(Julia Kirby)HBR シニア・エディター
*HBRケース・スタディは、マネジメントにおけるジレンマを提示し、専門家たちによる具体的な解決策を紹介します。ストーリーはフィクションであり、登場する人物や企業の名称は架空のものです。経営者になったつもりで、読み進んでみてください。
ニューオリンズでの年次総会
全米11営業地域、20拠点から集まったラルストン・クレーンのマーケティング担当者たちが、ホテルの会議室からぞろぞろと出てきた。さっそくPDA(情報携帯端末)を取り出してカチカチといじっている者もいる。
ガイ・クリスチャーノは、いましがた聞いた発表を思い出し、心のなかでつぶやいた。「プロジェクトのメンバーに、僕を指名してくれればよかったのに──」
この会議は、同社マーケティング部門の年次総会だった。マーケティング担当者全員が一堂に会して、この1年間を振り返り、ベスト・プラクティスを共有したり、今後の計画をすり合わせたりする。
最初の一団がエスカレーターを降りて通りに出ると、そこには何台かのシャトル・バスが待っていた。回転ドアからじめじめした外の空気がロビーに流れ込んでくる。常識的には、6月下旬の会議会場にニューオリンズが選ばれたりはしない。しかし、今年はわけありだった。
前の年、ハリケーン「カトリーナ」がこの地を襲った。全国展開する大手建築事務所のラルストンとしては、この街の復旧を支援する姿勢を打ち出しておきたかった。同時に、この地域で働く社員たちを激励するという目的もあった。彼ら彼女らは、本当に厳しい状況に耐えている。
CMO(最高マーケティング責任者)のルース・マクバイニーは、会議のテーマにしても、会場の選択にしても、まったくもって抜かりがない。