確信の度合いで
人の行動は変わる

 確信(certainty)は、私たちの行動形成に大きく結びついている。客観的に正しいかどうかは関係ない。強く信じていればいるほど、その考えは揺るぎないものとなり、行動にさらに大きな影響を及ぼすのである。

 20年余りにわたり、消費者心理や社会心理の研究者たちが行ってきた数十の研究によると、自分の考えに確信を持っている人はすぐに商品を購入し、支出額が大きくなる可能性が高い。また、署名運動への協力や投票もしやすくなる。みずからの意見を示すこと、商品を他者に薦めること、そうすべき理由を説くこと、自説を認めるように他者を説得することにも積極的である。そして、たとえ攻撃を受けてもそれに耐えることができ、反論しようとする。要するに、確信とは態度を行動に転じさせる触媒であり、信じていることを実現させ、そこに意味を与え、結果へと導くのである。

 たとえば、格安航空会社ヴァージン・アメリカの顧客満足度調査で、利用客2人が10点満点のうち9点という高い評価を与えたとしよう。ほとんどのマーケターは、2人とも十分に満足しているのを見て、両者が同じような行動を取るだろうと思い込む。つまり、ヴァージン・アメリカを再び利用したり、知り合いに薦めたりする確率は同じくらいだろう、と考えるのだ。