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「学習する組織」は、多くのマネジャーにとって理想の企業像である。しかし、その実現が容易でないことも衆目の一致するところだ。何が問題なのか。長年にわたる多くの業界での研究の結果、人間の持つバイアスに原因を見つけた。マネジャーも従業員も過剰に、「成功」「行動」「適応」「専門家への依存」を求めようとする傾向が、「学習」への障害になっているのだ。本稿では、人間の本性に根差したこれらの傾向がどのように行動に表れるかを考察し、その制御の方策を提示する。
人間の本性に根差すバイアスが学習を妨げる
ほとんどすべてのリーダーが、競争力を維持するために組織は日々学習し、自己革新すべきであると考えている。しかし、継続的学習を信奉しているとして敬意を集める企業ですら、常に学習していくことは難しい。
トヨタ自動車の事例を考えてみよう。たゆまぬカイゼンは、同社のよく知られた企業理念の支柱の一つである。しかし、2009年末に生じた深刻な問題によって世界中で900万台以上をリコールした後、トヨタのリーダーたちは告白している。世界最大の自動車メーカーを目指すあまり、学習に専心することを怠っていた、と。