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デジタルマーケティング

デジタルマーケティングとは何か。4つのキーワードを提示できそうだ。
まず「時間」。マーケティング活動において「時」は、段階的であり、順序立てて展開される概念だった。広告を打つ段階、販促を展開する段階、価格政策を取る段階など、消費者の購買プロセスに応じてリレー方式で施策が検討されてきた。しかしデジタルマーケティングでは、複数の段階がリアルタイムでパラレルに進行する。Aさんに商品を勧めている時にBさんには購入を決意させるような情報が提供され、Cさんにはアフターサービスの活動が行われている。リレー方式ではなく併走方式である。ITは、それを苦もなくこなしてしまう。
併走を側面から支援するのが、2つ目のキーワード「分析の粒度と精度の向上」だ。豊富なデータが駆使されることで、マーケティングによる働きかけの効果分析についての細かさ(粒度)と正確さ(精度)が高まる。CM効果の分析でも、従来のマスやセグメントの評価ではなく、個々人の評価にまで粒度と精度が向上している。
3つ目が「感情」。従来のマーケティング研究は認知や態度のレベルだったが、感情領域にまで踏み込んだ研究が始まっている。「感情マーケティング」や「センサリー(感覚)・マーケティング」などと呼ばれるものだ。
デジタルの力を借りることで、それ自身はデジタルではない喜びや嫉妬、憧れ、感動、幸福感、本物感といったテーマが研究対象になってきた。正確で膨大な数値を捕捉できるようになり、より豊かでリアリティのある分析視点が取り入れられるようになってきたからだ。しかもビギナーでも取り組めるようになるのがデジタルマーケティングの大きな特徴である。
そして4つ目が「顧客体験」。顧客との価値ある接点をいかにつくるかである。そのコンタクトポイントは、企業と顧客とのコミュニケーションだけでなく、デジタルマーケティングではオムニチャネルなどの実施で、トータルな活動として展開されている。