顧客はオフラインからオンラインへとシフトしている。B2Bの買い手も同様だ。この変化に対応するためには、オンラインの世界での顧客行動を把握する必要がある。そこで、デジタルマーケティングへの関心が高まっている。この分野の専門企業であるマルケトの社長、福田康隆氏にデジタルマーケティングを成功に導くためのポイントを聞いた。
顧客行動はオンラインへ
シフトしている

いま、製造業においてはサービス化の動きが進行している。多くのメーカーは「売って終わり」のビジネスから脱却し、販売後のサービスを通じて顧客との関係を強化しようとしている。サービス業においても、ライフタイムバリューの最大化は大きなテーマだ。B2C、B2Bを問わず、他社への乗り換えは容易になった。
こうした厳しい競争環境において、顧客から選ばれ続けるために何が必要か──。着目すべきは、顧客行動の変化。つまり、オフラインからオンラインへのシフトである。
例えばクルマを購入するとき、かつては大半の顧客が何度もディーラーの店舗に足を運んで商品を見比べていた。いまでは、ほとんどの顧客がWeb上でクルマを比較し、購入の意思を固めた上でディーラーを訪れる。あらゆる商品分野で、同様の動きが強まっている。顧客が購買に至るまでのプロセスのうち、三分の二はオンライン上で行われているとの調査もある。
オフラインの世界にとどまる企業は、顧客の動きを見失ってしまうかもしれない。やがては、事業そのものが衰退へと向かうだろう。こうした危機感の高まりを背景に、顧客が多くの時間を過ごすオンラインの世界に目を向け、顧客の行動に即したマーケティングを志向する企業が増えている。
たて割りに分断した組織が
最適化を阻む
多くの企業がデジタルマーケティングの重要性を認識するようになったが、課題も残されている。大きな要因と考えられるのが、“サイロ化”した組織だ。大企業の広告宣伝部門では、媒体ごとのチームが独自予算で活動をしているケースが今でも多い。
マーケティングオートメーション分野の専門企業、マルケト社長の福田康隆氏はこう指摘する。
「顧客はクロスチャネルで動いているのに、企業のマーケティング活動はチャネルに縛られている。こうした状況を変える必要があります。チャネルを統合し、顧客軸で全体を統合する視点が求められます。柔軟かつ適切な予算配分ができなければ、顧客に向き合うことは難しいでしょう」