「自分のため」の交渉は難しい

 経験豊富なマネジャーであれば、仕事における公式な交渉の場でどう対処すべきかを心得ている。たとえば契約をめぐる顧客との折衝、予算についての上司との調整、給与に関する部下との話し合いなどのやり方である。

 では、非公式な交渉はどうか。よりよいポストに就くため、受け入れがたい状況を打破するため、通常業務以外の特別な仕事をしたことを認めてもらうためなど、非公式な交渉のチャンスを逃さずにキャッチする方法をご存じだろうか。

 私は35年にわたって交渉術を研究し、幹部にコーチングを行ってきたが、ほとんどの人々はそのためのやり方を知らないことに気づいた。次のような例を挙げて考えてみよう。