アルゴリズムを正しく理解せよ

 マネジャーの仕事には「予測」がつきものだ。人事の専門職が採用者を決める時は、誰が最も有能かを予測している。マーケティング担当者が販売チャネルを選ぶ時は、どれを使えば製品が一番売れるかを予測している。ベンチャーキャピタルがスタートアップへの出資を検討する時は、その会社が成功するかどうかを予測している。こうしたさまざまな予測をするために、今日の企業は、段階的な分析を驚くほどのスピードと規模でやってのけるコンピュータアルゴリズムへの依存を強めている。

 アルゴリズムは予測の精度を高めるが、そこには独自のリスクも伴う。我々人間がアルゴリズムを理解していない場合は特に危ない。よく知られた事例はいくつもある。ネットフリックスは、ユーザーの映画の好みを予測するアルゴリズムを開発するというテーマで、賞金100万ドル規模のコンペを実施したことがある。その時データサイエンティストたちのチームが協力し、栄冠を勝ち取ったのだが、それはDVDを対象としたアルゴリズムだったため、ネットフリックスのユーザーがストリーミングへ移行すると、その嗜好がアルゴリズムの予測と合わなくなった。

 ソーシャルメディアでの事例も紹介しよう。いまや多くのサイトがアルゴリズムを使って、どんな広告やリンクをユーザーに表示するかを決めている。この時、クリック率の最大化ばかりを重視すると、サイトは質の低い「クリックベイト」(大した記事ではないのに、派手な見出しでウェブ閲覧者のクリックを誘う)記事だらけになる。クリック率は上昇しても、全体の顧客満足度は急落しかねない。