成功と学習の関係

 現在の組織を取り巻く状況はたえず変化している。業界の再編が進み、新たなビジネスモデルが出現する。新技術が開発され、消費者行動が変わる。変化の速度は増す一方なので、企業幹部にとっては極めて荷が重い状況となるだろう。会社の運営方法や業務遂行の方法における重大な変化を理解し、素早く対応するように迫られているからだ。経営理論家のアリー・デ・グースの言葉を借りるならば、「持続する競争力とは、競合他社より素早く学ぶ能力だけかもしれない」という状況である。

 学ぶといっても、私が言いたいのはくつろいで読書をすることや、教室で系統立った講義を受けることではない。本稿で取り上げる学習とは、現在の業務を進めつつ、新たな物事に対する偏見に抗い、成長の機会を求めて周囲を見渡すことや、従来とはまったく異なる能力を身につけるようにみずからを鼓舞することである。そのためには新たな取り組みを率先して試す気持ちと、幾度となく初心者の立場に引き戻されることをいとわない心構えが問われるのだ。そう聞くと、ほとんどの人はひどく不安になるだろう。

 ところが私と同僚は長年にわたり、さまざま業界で活躍する企業幹部数千人のコーチングとコンサルティングを行い、この種の学習に成功した人々と実際に出会っている。そして、彼らに間違いなく備わっている4つの特性を突き止めたのだ。