-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
なぜM&Aは失敗に終わるのか
2015年、金融界はM&Aの最高記録を樹立した。かつて1年間のディール総額で最高だった1999年の記録は2007年に塗り替えられたが、その2007年の記録を上回ったのである。これはおそらく、よくない兆しだ。
(アーティストの故プリンス[注1]には失礼ながら)我々はまるでいまが1999年であるかのように──加えて2007年も同時にやってきたかのように──パーティに興じている。だがこの両年の陶酔感は、引き続く2000~2002年と2008~2009年のいずれの期間に対しても吉兆とはならなかったのである。
最近のM&Aの成否が見えてくるのはまだはるかに先だが、永遠に続くかのごとく同じパターンの大失敗が矢継ぎ早に起きている。2015年、マイクロソフトは、前年にノキアから79億ドルで買収した携帯電話事業の資産価値の96%を償却した。グーグルは、2012年にモトローラから125億ドルで買収した携帯電話事業を29億ドルで売却処分している。ヒューレット・パッカード(HP)は、111億ドルで買収したオートノミーの資産価値を88億ドルに減損処理しているし、ニューズ・コーポレーションは2011年、ほんの6年前に5億8000万ドルで買収したマイスペースをわずか3500万ドルで売却した。