タイタニック号の乗客を救出せよ

 1912年4月14日の夜、豪華客船タイタニック号が北大西洋上で氷山に衝突し、その2時間40分後に沈没した。乗客乗員2200人のうち、16隻の救命ボートに避難し、客船カルパチア号に救助されたのは、わずか705人だった。

 事故原因となったのは氷山だが、それを救助策にも利用できることに乗員が気づいていれば、あと何人救出できただろうか。氷山は水面高くそびえ立ち、その幅は約400フィート(約122メートル)にも及んでいた。氷山まで救命ボートで乗客を運べば、平らな場所が見つかった可能性がある。

 タイタニック号自体もしばらくは航行できたため、氷山に接近すれば乗客乗員が乗り移れたかもしれない。この救助策には前例がある。タイタニック号沈没から遡ること約60年前、アイルランドからカナダに移住するために乗船していた176人のうち127人がカナダ南東部のセントローレンス湾で浮氷塊に這い上がって助かっているのだ。