経営者が短期主義に陥ってしまう要因はさまざまである。低成長、アクティビスト(物言う投資家)の存在、政情不安──数え上げたらきりがない。その一方で、努めて長期的な視野を持ち続け、何年にもわたって優れた業績を収めているCEOもいる。2016年版のランキングに名前を連ねたのは、そうした一流のCEOたちだ。なお、このランキングの指標には2015年から、環境・社会・ガバナンスという3つの視点を取り入れたが、2016年はさらにそれを改善し、ランキングの精度を高めている。

「短期主義」に陥りがちな企業トップたち

 いまはCEOを務めるにはチャレンジングな時代だ。世界経済は総じて低成長期にある。ほぼすべての地域で政情不安が蔓延し、長期計画を立てるのもためらわれてしまう。特に米国では、経営者を批判するアクティビスト(物言う投資家)の力(と声)が大きくなっている。

 こうした脅威を考えると、昨今なぜ最高責任者レベルの企業幹部が回転ドアのごとく出たり入ったりを繰り返すのか説明がつく。2015年、グローバル企業のCEOの交代率は17%に迫る割合になった。しかも、この2、3年でCEOが職を辞したケースのうち、5分の1以上は解任によるものなのだ。