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ルノー、そして日産自動車のCEOを11年間にわたって務めてきたカルロス・ゴーンは、いまや自動車業界の「顔」である。しかし最近はテクノロジーの劇的な進歩とともに、テスラモーターズやグーグルなどの強力な新規参入者が相次ぎ、自社の革新性の維持に心を砕いている。ルノーと日産の2社合計で数十億ドルを電気自動車の開発に投じ、2010年にはその完成車の販売に打って出た。2016年には不祥事に揺れる三菱自動車に2億ドルを出資して傘下に置いた。ルノー、日産、三菱の3社合計の販売台数は年間1000万台に迫り、世界4位の自動車会社となる。一連の積極策の背景や今後の展望、そして自動車業界の未来について、HBR編集長のアディ・イグナティウスが迫った。
テクノロジーの劇的な進歩
カルロス・ゴーンは、危機対応の手腕を買われて頭角を現し、自動車業界における名高い経営者となった。1990年代には、ルノー、次いで日産自動車の救世主となり、過去11年間にわたって両社のCEOを務めてきた。ブラジルでレバノン人の両親の下に生まれ、フランス国籍をも持つゴーンは、まさにグローバリゼーションを体現する人物といえ、日本と欧州を股にかけて2社の経営に深く関与している。
そして、自動車業界の「顔」の一人でもある。ルノーを再建して黒字転換を果たすと、「コストカッター」の異名を取り、日産自動車を復活させて1999年にルノーとのアライアンスを形成すると、「再建請負人」とも称された。日本では、連載コミック『カルロス・ゴーン物語』に登場する偉大なる英雄としても知られる。