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日本で企業再生という言葉がまだ一般的に使われていなかった時代に、ターンアラウンド・スペシャリスト(事業再生専門家)を名乗り、その経験を描いた『V字回復の経営』がベストセラーになった三枝匡氏。2002年に、それまでの赤字事業とは異なる高業績企業のミスミ(現ミスミグループ本社)の社長に就任した。以降CEOとして12年間、同社の改革を続け、売上高4倍、営業利益5倍、社員340人の商社からグローバル1万人企業への高成長を果たした。その経緯を著した『ザ・会社改造』は好評で、ミスミで実行したいわゆる「平時の企業改革」は、競争力が低下した日本企業への示唆が多い。企業改革の意義や成功に導く方法について詳しく聞いた。
平時の危機感醸成と企業改革の意義
編集部(以下色文字):バブル崩壊後の長い間の厳しい日本経済にあって、三枝さんは事業再生の専門家として不振事業を再建してきました。2002年にはなぜ、業績好調だったミスミの社長を引き受けたのですか。
三枝(以下略):41歳で個人経営事務所を立ち上げてから16年間も企業再生の仕事を続けてきましたが、ビジネス人生の終盤を迎えて、すっかり活力を失っているこの日本で「元気な会社、ここにあり」といわれるような、新しい経営スタイルでグローバルな企業を自分で生み出したいという野心、あるいは使命感のようなものを抱くようになりました。