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「ノイズ」は企業に多大な損害をもたらしている
ある世界的な金融機関と仕事をともにした際、こんなことがあった。同社の古くからの顧客が間違って、金融サービスの申し込みを2カ所の支店に提出してしまったのだ。本来ならその申込書を社員の誰が担当しようとも、全社共通の基準に従って審査し、同じような結果になるはずであった。ところが実際には、2カ所の支店から顧客に返ってきた2通の見積書は内容がまったく違っていた。顧客はあっけに取られ、その仕事を競合他社に頼むことにした。
会社とすれば、同じ業務を担当する社員は代理が可能で、同じ回答を出すはずであったが、このケースで2人の社員は同じではなかったのだ。残念なことに、これは広く見られる問題である。
多くの組織は、社内のプロフェッショナルに対して、無作為に案件を割り当てる。信用格付け機関のアナリスト、緊急治療室の外科医、融資と保険の審査・引き受け担当者──。そして組織は、こうしたプロフェッショナルに一貫性を求める。すなわち、ほぼ同一の案件を扱うなら、完全に同じとまではいかなくても似たような対応をすべきであると。